マズルをつかんで叱る~犬と私672~
甘噛みや吠えたことを叱るときに、マズル(口元)をつかんでダメ!と叱る方法をとっている方がおられます。
子犬の甘噛みも歯が鋭くて痛いので、イライラしてしまう気持ちはよく分かります。
また吠えも早く止めたい気持ちになり、物理的に口を塞いでしまうことができる、マズルをつかむ方法をとりがちです。
しかし、小さなうちはこの方法を取ることができても、大きくなってくると逃げられたり、咬みつこうとされて、つかめなくなる可能性が高いです。
それ以上に、飼い主さんとの関係にヒビが入ってしまうことも心配です。
マズルは犬の身体の中でも敏感な場所です。人で考えてみると、何か話をしている人の口をつまむことはあり得ませんね。
また、病気の予防として大切な歯磨きも、口元を触られるのが嫌になっていると、とても難しくなります。
何もしなくても嫌がりやすい場所であるマズルですから、必要があって触れるときには優しくすることが1番です。
マズルをつかむまでに、犬から見た視点では
①飼い主さんが近づいてい来る→②手が近づいて来る→③マズルをつかまれる、という流れになっています。
この繰り返しが行われることで、①や②の時点で③を予測して逃げる、攻撃するという問題も出やすくなります。
撫でてあげようと思った手に咬み付かれた・・・なんてことも、このような経験の積み重ねの結果から起こる場合もあるのです。
人の手が嫌なものになると、日常生活でお互いに困ることがたくさんですし、必要なケアも十分にしてあげられなくなります。
手を差し伸べると、近づいてきてくれるような関係になるには、普段から手=良いもの、嫌なことをしない、になっている必要があるのですね。